クリスマスに沸くこの時期、ジビエも最盛期をむかえます。雉、山鳩、野鴨、山シギを始め鹿、猪、等が一堂に会します。冬野菜も旨みを増し、きのこもトリュフを筆頭に、あらゆる種類が魅惑的に香ります。そして、決して万人向けとは言えませんが、ジビエ好きの魂を、鷲づかみして、放してくれないのが・・・・リエーブル(野兎)なのです。
一般的なうさぎは、身も白っぽく、筋肉質な地鶏よりもっと癖もなく、淡白で素直なお肉です。うさぎですよ、と教えられない限り、誰もが普通に食べられる食材です。
ところが、野の文字が付いた途端、全く別物に変身してしまうのです。見た目は家うさぎや穴うさぎより1まわり大きく、毛が茶色い位でさほどの違いはないのですが、一皮剥くと、こりゃびっくりです。肉質はとても締まっており、そのままローストしても歯が立たない程で、身も濃い赤です。ものすごく野生の匂いが強く、正に動物園そのものです。そんなリエーブルが最も力を発揮するのが・・・・・、
一度部位ごとに、火を入れた後、バラバラにほぐして成型し直し、血と内臓とワインのソースでじっくり煮込んでゆき、仕上げまでに3日~5日掛かる、古き良きフランスのコテコテ、クラッシックな料理です。リエーブル自体には、ほとんど脂肪がないので、ソースにも、ほぐし固めた肉の真ん中にも、たっぷりのフォアグラがはいっており、むせ返る程の野生味と、フォアグラの溶けた脂の甘い香りに、この世で一番罪深いことを、しでかしている様な、後ろめたさと、恍惚にクラクラしながら、やめられないとまらないで地獄に堕ちてゆく、危険極まりない1皿です。そしてこんな料理を、しらふでなんて絶対に無理で、合わせる酒はどう考えてもワイン以外なく、そのワインを何にするかと言うとこれが難しい。動物臭ムンムンで、熟成したニュアンスがあって、パワフルだけれど厚化粧じゃない、表に現れない底力を感じさせるワイン、でもって手が届かないのでは、お話になりません。
という訳で、この度のセレクトは・・・・・ちょっと意表を衝いての一本が、ブルゴーニュのALOXE-CORTON Clos de la Boulotte96 Nudant MONOPOLE
抜栓直後から、香りが開いておりかなりなボリュームを予感させます。華やかな果実味と熟したドライフルーツ、朽ちた落ち葉、時間と共に刻々と香りが成熟してゆくのがはっきりと感じられます。味、香り共に濃いのですが無理をしている感じがなく、鄙びた田舎の匂いがします。リエーブルにブルゴーニュなんて普通考えもしませんが、合わせてみると意外な程しっくりいくのです。料理だけだと、下手をすると濃すぎて野暮ったい印象を持ってしまう恐れを感じたのですが、このワインと合わせると香りの妙も相まってガラリと表情が変わり、濃厚ながら品位のある一皿に生まれ変わるようです。ベストな相性ではないかもしれませんが、目から鱗のマリアージュです。先入観で物事を決めてはいけません。これだから酒と料理は面白い、と再認識させられた一組でした。
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